サディスティック・ミカ・バンド「何かが海をやってくる」

前回も貼ったつべです。

前回言ったとおり、『黒船』は私にとってプログレです。

この曲のキャラクターは、ベンディングを含むベースの音形と、速すぎないテンポ、が作っています。というか、こういう楽想を発想するところに意義があるのであって、だからこれは私にとってプログレなわけです。

後藤次利になってからのこの曲のライヴは、全くの別物で、わたし的には用がありません。私は演奏テクニックのための演奏テクニックを聴きたいわけじゃない。

とある動画(↑と同じライヴ音源の動画)のコメント欄が不穏なことになってまして、おそらくまず後藤のベース・プレイを批判するコメがあり、これに対して

「この曲のベースを批判するって事は、そもそものカッコイイ物が分からないんですね、可哀想」

と応酬があり、元の後藤批判のコメが削除された、と見えます。

元のコメの、内容や、どういう口調だったかは判りませんが、おそらくオリジナル・スタジオ・ヴァージョンの小原礼が念頭にあってのものでしょう。

それぞれのかっこよさがある、とするのが公正ですが、私はプログレの人であるので、ここでの後藤アレンジは、フュージョンである=「かっこわるい」と断じます。

もちろんこれは「この曲をどう解釈・アレンジすべきか」の話です。ベーシストとして小原と後藤とどっちが上か、の話では全くありません。

にしても、相手を可哀想がって見せて、自分が上に立とうとする姿勢を見せたら、議論に於いては負けてる、と自ら認めることにならないかなあ。

サディスティック・ミカ・バンド「四季頌歌」

日本のロックから1枚選ぶなら『黒船』ですし、1曲選ぶなら「四季頌歌」です。

 

サディスティック・ミカ・バンド『黒船』(1974年)

A-1 「墨絵の国へ」

A-2 「何かが海をやってくる」 

A-3 「タイムマシンにおねがい」

A-4 「黒船(嘉永六年六月二日)」 

A-5 「黒船(嘉永六年六月三日)」

A-6 「黒船(嘉永六年六月四日)」

B-3 「四季頌歌」

各曲のつべがいつのまにか上がっていて嬉しかったので記事にします。就中「四季頌歌」は以前から探してて全然見つからなかったのに、3種類も上がってて、狐に抓まれています。

「黒船」は「タイムマシンにおねがい」からのメドレーのつべしか見つかりませんでした。「タイムマシンにおねがい」はわたし的には省いても惜しくないです。

 

『黒船』は私の「日本のロック入門」でしたし、同時に「日本のプログレ入門」でした。トータル・アルバムであることと、インスト主体であることが、最高にかっこいい。

歌詞カードに「(インストルメンタル)」と書かれた曲がずらりと並んでいるのにびっくりしたし、「四季頌歌」はヴォーカル・パートが載ってはいるけど「ウタモノ」ではない。「歌ってる」というより、造形・アレンジの一環として「ヴォーカルが置かれてる」。私の思う「プログレにあり得る唯一のヴォーカルのあり方」です。以前ピンク・フロイド「エコーズ」について書いたやつです。 

そういえば「四季頌歌」のタム回しはニック・メイスンを思わせます。

 

ほぼ同時期の、四人囃子『一触即発』の重要性を軽く見ることは出来ませんが、私は『黒船』に、よりプログレを感じます。