Oberon "A Midsummer's Night Dream"

Oberon というバンドはいくつかあるようだけど、これは1971年の自主制作盤 "A Midsummer's Night Dream*1" で知られるトラッド基調のバンド。

フルート、ヴァイオリン、男女ヴォーカル、パーカッションを含む7人編成による音像は深々と神秘を湛えて、秘密結社めいたコミュニティを思わせもするけど、じつはオクスフォードのパブリック・スクール Radley College の生徒たち。

1970-71年に定期的にギグを行い、The Pretty Things のサポートをやったこともある。

 

ディスコグラフィ

① A Midsummer's Night Dream(自主制作、レーベル無し、1971年)

② Oberon Live Spring 1971(自主制作、レーベル無し、2010年)

以上2枚をカップリングして、

③ A Midsummer's Night Dream(Grapefruit Records、2020年)

が出てる。

 

作曲の中心はフルートの Charlie Seaward とギターの Chris Smith。

トラッドといいつつ、Seaward はクラシックの、Smith はジャズの心得があるように聴こえる。Seaward は、①ではドビュッシー「シランクス」を、②ではプーランク「フルート・ソナタ」第1楽章を、アレンジを加えることなく、やってる。

 

①は、ある資料に、1970年の夏のあいだに録音、とあるけど、それだけじゃない気がする(後述)。99枚プレスされ、身内で回覧された。

今回貼るつべは、リマスター前の音源だろうか? 「Oberon - Topic」のつべもあるのだけど、そちらはリマスターで、このアルバムの魅力の大きな部分である、音場感というか空気感というか、が殺がれて、各楽器の音も質感の無い貧相なものになってしまってる。

'Nottanum Town'

トラッド曲で、②でも取り上げてるけど、アレンジが大幅に違う。ここでの 1'55" 目までのイントロやヴォカリーズはやってなくて、男声がいきなりギターのコード・ストロークとともに歌詞を歌い出す。

'The Hunt'

フルートの Seaward 曲。前述のとおりこのアルバムは1970年夏の録音となってるんだけど、'The Hunt' は1971年3月のライヴを収めた②にも入ってて、どう聴いても同一パフォーマンス(ただしモノラル録音)。

 

②は1971年03月23日のライヴ。

'Scarborough Fair'

Seaward のフルートは、メロの発明力もあるし、演奏にも歌心がある。

ふくよかに息づく音楽。3分過ぎの最弱奏に向かうディミヌエンドが美しい。

というか、ハンマービート??

*1:A Midsummer Night's Dream ではなく。