作曲は辻褄合わせではない

「モードありきでこれに沿わせてメロを動かす」のが作曲じゃない。いうまでもない。作曲は辻褄合わせじゃない。

 

この曲のモードは「コンディミ」なのか「民族っぽい」のか。

キーは D で、es が出て来る箇所ではコンディミっぽい。でも e が出て来る箇所もある。

es の箇所:

0'38"、1'05"、1'37"、2'24"

e の箇所:

0'32"、1'09"、1'20"、1'22"、2'00"、2'02"、2'07"

(2'27"~2'48" と 3'36"~3'58" は倍音列だからモードとは別のシステム)

「モードと、そこからのアウト」もしくは「2つのモードを行き来」ともいえるし、「モードに沿わせることを予定調和として、これに価値を置かない」という立場なのかも知れない。

 

[d, gis, c] というリフのコード上でメロが fis - gis - a - b - c - d のモードの断片に沿って動いてるところに、es が加わる瞬間にはコンディミっぽくなり、e が加わる瞬間には

ド - レ - ミ - ファ♯ - ソ - ラ - シ♭

というモードっぽくなる。後者は倍音列と親密ともいえる。

es の箇所:

ウインド・シンセの、0'45"、0'48"、0'53"

e の箇所:

キーボードの、0'50"

2つのモードを行き来してるともいえるし、モードを前提とせずただ瞬間瞬間に響きを作ってるともいえる。

 

これの 3'42"~4'03" の箇所は、もともと耳だけを頼りに手探りで得た。

この曲を書いてるうち、多くの部分で、のちにそれには「コンディミ」という呼び名が付いてるんだと知ることになるところのモードに沿ってることに気付いた。

となると、この箇所は、そのモードに沿わない音を含むことになる。

この読みづらい譜面の細かいことはまったくどうでもいいのだけど、4小節目以降のいちばん上の声部に cis が出て来る。

モードを知ってしまうと、これに沿わない音は「間違い」だ、と思ってしまう。モードに収まるように書き直そうとする。

これはこのままでよいのだ、自分の耳の責任で探り当てたものとして、全く正しいのだ、と自分を納得させるのには、ものすごく時間が掛かった。

 

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