続・リヴァーブ

今回のあらすじ

①ごく若い頃は長く深いリヴァーブを欲した。のちにそれをやめた。その理由。

②「Pre Delay」の問題。

 

前回、KORG 01/WFD の内蔵エフェクタについて、そらで書いてしまったために、不正確なところがありました。

現物に当たって書き直します(引っ越し以来初めてぜろわんくんを引っぱり出しました)。

エフェクトの 04 番、「Room」。

これのパラメータには、

・Reverb Time(前回「レングス」と書きましたが、エフェクト全体の減衰に掛かる時間。単位:秒)

・Pre Delay(前回たんに「ディレイ」と書いてしまったためにイミフになりました。向かい側の壁に跳ね返って最初に1回聴こえる大きな反響音、その、元の音との時間差の設定。単位:ミリ秒)

・E.R Level(Early Reflection の音量の設定)

・High Damp(時間とともに高域が減ってゆく傾き。単位:%)

・EQ Low、EQ High(単位:dB)

・DRY : FX Balance(直接音とエフェクト音のバランス。前回「デプス」と書きました)

があります。

 

で、初期値は、

Pre Delay の値が「10ms」で、すごく短い。これが返ってくるのが早い=部屋が狭い、というイメージになります。

EQ の Low が「+03dB」、High が「-02dB」。

High Damp が「20%」、すぐに高域が減衰する感じです。

イコライザで高域が抑えられ、ハイダンプが効いて、デッド目のこもった響きです。

 

私は、Pre Delay を「30~40ms」にして部屋を広くし、EQ Low を下げ High を上げ、High Damp を「10%」にして、タイル張り(大理石造りといわないまでも)に改装しました。

伸びのある開放的なリヴァーブ。

 

Reverb Time(エフェクト全体の長さ)は初期値では「1.1秒」、DRY : FX Balance は「68 : 32」ですが、私はそれぞれ短め、浅めにします。曲によって適宜増減します。

洋間でマイク録りでリアルのルーム・リヴァーブを得てた時は、なるべく長く深いリヴァーブを欲してたのに、シンセ内蔵ディジタル・エフェクトではむしろ短め・浅めにする。

リアルリヴァーブは得るのに工夫が要る。躍起になって長く・深くしようとする。それでも限界がある。

エフェクターでは、長い・深いリヴァーブが、設定ひとつで達成されてしまうので、これを得ることが課題になり得ない。

 

エフェクター使い始めの頃は、嬉しくて、過剰に掛けてた。なにしろ理想が「残響2秒」のコンセルトヘボウでした。

「Room」じゃなくて「Hall」を使ってた。でも私は「作曲家」です。せっかくの造形が過剰なリヴァーブに埋もれて不明確になるのは、本末転倒だ、と気付きました。

 

さっき Pre Delay の値に「30~40ms」と幅を持たせたのは、場合に応じて変える必要があるからです。

ディレイですから、同じ音を時間差で重ねる。干渉が起きて、ノートの波長によっては、出力してるつもりの音量にならない、ヴェロシティの要求する強さにならない、ということが起きます。

作曲上この音は疎かに出来ない、という要の音が、干渉によって引っ込んでしまう、ということを避けるために、Pre Delay の値を場合に応じて調節する必要があるのです。

もちろんこれはその特定の箇所に対しては有効ですが、他のところ、他の波長のノートで、同じ問題が起きている。あっちを立てればこっちが立たないです。

これはもしかしたら、ヴァイオリン製作における「魂柱を立てる位置によって音色がガラッと変わる問題=あるピッチを響かせると別のピッチが響かない問題」に似てるでしょうか?