リヴァーブ

ごく若い頃、自宅の洋間でマイク録りしてた。

アクースティックなリヴァーブが欲しかった。吸音するものを全部外に出して、あるのは生ピアノとアンプだけ。私自身の身体も「吸音するもの」なので、シンセやギターは、アンプからケーブルを延々伸ばして、隣室で演奏する。生ピアノを弾くには、私自身の身体をそこに置かざるを得ないけど。

ステレオマイクではなく、指向性マイクを2本。アンプが部屋のこっちの端、マイクが反対側の端。間接音の割合をなるべく増やそうとした。

左に定位するには、左のマイクをアンプに向け、右のマイクを逆に向ける。直接音は左だけが拾い、間接音は音量的には左右同じくらい拾う。

 

こういう音場づくりを「標準」と思ってたのは、クラシックの人だったから。コンセルトヘボウとかボストン・シンフォニー・ホールとかサル・ワグラムとかで録られた CD を聴いて育ったので。

 

真ん中に定位するためにはマイクを両方ともアンプに向けるわけだけど、ある時、ベースパートをピアノの低音でやったら、どうも響きがだぶついてしまう。そこで、1本をアンプ向き、1本を逆向きに置いて*1、2本とも中央に定位してみた。つまりモノラル。間接音は豊かで、且つ音像が引き締まった。

 

もうひとつ試したのは、ピアノのダンパーペダルを踏みっぱなしにして、ピアノの全ての弦を共鳴弦として使う、ということ。ピアノ自体は弾かない。ピアノをリヴァーブ・ボックスとして使う。ピアノ内部に向けて他の楽器の音を鳴らし、ピアノ内部に吊るしたマイクで拾う。

これは、効果が微細過ぎて、録音機材の性能がこれを捉えきれなかった。機材自体が発するノイズが気になるレヴェルのかそけき効果。

 

KORG 01/WFD の内部エフェクターの「ルーム・リヴァーブ」は、プリセットのままだと、こもって、せまっくるしい響きなので、パラメータのうち、「イコライザー」のハイを開きロウを抑え、「ハイダンプ」を外し、「ディレイ*2」を長く=遅くしてた。開放的な響きのリヴァーブを、「ホール」とか「カテドラル」ではなく「ルーム」でやろうとした。「デプス」と「レングス」はむしろ浅く短くしてた。

 

追記的関連記事:

*1:文字通り「置いて」。何を台にしたのだったか。マイクスタンドはもってなかった(今ももってない)。

*2:追記

「delay」じゃなくて「early reflection」だっけ? どう違うのかな?