Nick Mason

Nick Mason のドラミングがつまらなくなったのはいつの時点か?は時々ぼんやり考えるけど、私は Pink Floyd あまり詳しくないし、改めて聴き込むのも今のところ億劫がってる。

おおよそ、Waters 主導になったというか、歌詞のコンセプトありきでこれに沿って全体が計画されるようになって、音としての自由な実験が二の次になった時点なのかな、と想像してる。本当にぼんやりと。

 

てなことを考えたきっかけは、'Astronomy Domine' の、"Ummagumma" 収録ヴァージョンについての記事を書いた時、10年振りに聴き直して、ドラミングの凶暴なのにびっくりしたこと。

これは1969年収録のライヴ。この時点ではこんなだったんだな、と。フレーズも、音色=打撃のインパクトも凶暴。

 

映像作品 "Live At Pompeii"(1971年収録、1972年リリース)での 'One Of These Days' は「メイスンが激しく演奏するあまり右手のスティックを飛ばしてしまう」シーンで有名らしいけど、演奏中にスティックを飛ばすというのはふつうにあることです。あとこの曲のフレーズはつまらない。

 

いっぱんにバンドの「音響」の斬新はキーボーディストに帰して考えがちだけど、VCS3 を買ったのはたしか(Wright ではなく)Mason だったと記憶する。

私のプログレ入門は "The Dark Side Of The Moon" だった。そのオープニング曲 'Speak To Me' はメイスン曲。

つまり私の耳に最初に鳴ったプログレは、この、心音に始まるサウンド・コラージュだった。

当初はこれが「音楽」の範疇なのか、戸惑った(小6でした)。実際のところは、これと、これに導かれてメドレーで始まる次曲 'Breathe' の「音楽的な」美しさとのギャップに感動したのだった。

 

ソロ・アルバム "Nick Mason's Fictitious Sports" (1981年)から。作曲作詞プロデュースは Carla Bley、リード・ヴォーカルは Robert Wyatt だけど。Mason のソロ・アルバムとしてでなければ成立しなかった作品ではあるのだろうし。