ズレる、ズラす②a

以前一度書いた内容ですが。

 

 

生演奏で、2人の奏者が、音高やタイミングをぴったり合わせようと努力する結果生じるズレが、心地良い。

 

キーボードだと音高がぴったり合ってしまう。しかも平均律だったりすると美しくない。

打込みだとタイミングがぴったり合ってしまう。

 

これらの「ぴったり」を平板で物足りないと感じた時、意図的にズレを作ることに意味があるか?

ニゾンの各パート毎に、音高について、(「デテューン」に大きな効果は望めないとして、)ピッチ・エンヴェロウプの設定を変えるとか。

タイミングについて、打込みなら「24」のステップタイムを「22」や「26」にするとか。

「ズレる」心地良さを「ズラす」ことでシミュレイトする。これは心地良いか?

 

キーボードを2台以上使えるなら、楽器ごとにマスターの「ユーザーズ・スケイル」で固有のスケイルを組むことで、楽器ごとの「癖」とすることもできる。これは幾分か有望かも知れない(手順としては「平均律を基準にそこからどのくらいズラすか」になってしまうけど)。

 

 

以前実際にライヴで使った、音高についてのアイデア

アフタータッチで音高を作る。最大押し込むと1オクターヴ下がる設定にする。このアフタータッチ情報を受け付ける鍵盤と受け付けない鍵盤とがある。

アフタータッチ情報を受け付ける「a」の鍵盤を真ん中の深さまで押し込むと、オクターヴの中間、増4度下の「es」の音高になる。この高さをできるだけ正確に保つ=押し込み加減を一定に保つ努力をする。

これを、アフタータッチ情報を受け付けない「es」の鍵盤の持続と重ねる。この場合「高さをできるだけ正確に保つ」とは、具体的には「重ねた2つの音の作る《うなり》の周期をできるだけ長くする」ことである。

この演奏を、わざと鍵盤の「押し込み加減」をコントロールしにくい体勢、例えば「腕を水平方向にいっぱい伸ばした位置に鍵盤がある」状態で行う。

 

「ぴったり合うのがあたりまえ」ではないキーボード。これだけではまだ基礎実験だけど、このほうが、「合わせにくい状況で合わせようと努力する」つまり「生アンサンブルに近い」わけで、数値によってズレをシミュレイトするよりは、まだアリなのではないか?