Genesis 'Dusk'

無駄に凄いミックス。

いつのリマスターだろう? 各パートが一切混じり合わず分離して、どのパートもどぎついくらい前面に出る。

曲内容がこのミックスを求めてるとは思えない。ミックスのためのミックス。分離のための分離。私はこの曲の慎ましやかな佇まいを愛するので、このミックスを、ガチャガチャと騒がしく、とっ散らかってると感じる。

つまりこれは、「曲そのもの=鑑賞しその世界に浸り陶然となる対象」であるよりは、「曲についての絵解き」なのだ。指揮でいうとブレーズの流儀みたいな。

 

3'55" 目のアンティーク・シンバルのディケイが途中で途切れないのに、ぎゃくに笑ってしまう。オリジナル・ミックスでは、次の小節線が編集点になってて、アンティーク・シンバルが1拍の長さでぷっつり切れてる。リマスターでこれを手直しするということは、オリジナルが不手際だったと認めることなわけで、じゃあそもそもなぜオリジナルの段階で直さなかったのか、が謎となる。

オリジナルを聴いてるあいだは、雑な編集だなあ、と思ってた。でも直されると、オリジナルをいじるべきか?と思ってしまう。「ぷっつり切れる」ことに風情を感じ始め、馴染んでしまってたので。

いつ時点のリマスターからこう変わったのか、私は把握してない。作業としては、同じトラックの別の箇所の「チ――ン」をコピーして来るのかな?

 

追記(2021年05月04日)始め

オリジナル(or それに近い)ミックスを貼っておきます:

デモ:

追記終わり

 

そういえば、'Supper's Ready' のオリジナル・ミックスは、終わり間際のペダルベースの1か所、ふつうに考えて「a」だろ、という箇所が「h」になってる。これがリマスターで「a」に直されてる。笑ってしまう。やっぱりあれは踏み間違いだったんだな、と。

 

Genesis のリマスターにはオリジナルを損ねる無謀なものが多い、ということは過去何度か書いたので、ここで繰り返さない。

 

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