拙アメブロ記事2020年02月18日より。以下。
古英語 (Old English) 700-1100
古英語には 4 大方言が区別された.ウェスト-サクソン方言はウェセックス王国の言語で,今日残存する写本の大部分は,この方言で書かれている.
中英語 (Middle English) 1100-1500
(ノルマン征服ののち)再び英語の作品が現れたとき,それは各著者の方言で書かれていた.中英語方言の分類は次のようにされる.
(1) 北部方言
(2) 東中部方言
(3) 西中部方言
(4) 南部方言
(5) ケント方言
14世紀後半のチョーサーやガワーの英語は,もはや一方言にとどまらず,標準的な文学語に発達していった.この文学語はロンドン方言の上に立つものであるが,ロンドンは東中部方言・南部方言・ケント方言の混交する土地にあるため,その英語は境界方言であった.中でも東中部方言はケンブリッジ・オックスフォード両大学をもその地域内に含み,文化的にもまた交通の上からも重要な位置にあるためもっとも有力で,ロンドン英語においても東中部的特徴がもっとも優勢になった.これが今日の標準語に発達する.
近代英語 (Modern English) 1500-
標準語が普及して全国の英語が統一に向かう反面には,標準語が地方により,また教育や階級によりさまざまの変容をうけるという事実がある.大都会の発達につれ地域方言は減少しても階級方言は増加し,少なくとも話しことばにおいては多様な変容標準語が行なわれているのが現状である.ただし発音については,教育ある人々,とくに public school 出身者の発音がよいとされ,これを学者は認容発音 (Received Pronunciation) とよんでいる.
岩波 英和大辞典 中島文雄編 第 1 版第 1 刷 1970年 による
「1980年前後からイギリス・ロンドンとその周辺=テムズ川の(広義の)河口周辺で使われるようになった英語」
「RP話者とコックニー話者のどちらにも違和感を覚える新中間層により、そのどちらとも違う新しい英語が作り出されてきた」
「以前はRPだけで放送を行っていたBBCでも、現在では河口域英語を含む多様な英語の話者を採用しており」「ダイアナ元皇太子妃や元首相のトニー・ブレアの英語は河口域英語の特徴が多少あり」
以上。
私が英語と最初に出会ったのは1970年代ブリティッシュ・ロックでだったので、それはつまり Received Pronunciation とコクニーだった。
↑に挙げた中島文雄の「英和大辞典」の発行が1970年というタイミングなのはわりと重要で、これに先立つ1967年に、Jones の 'Everyman's English Pronouncing Dictionary' の最新版(当時)が出てて、「英和大辞典」は当然これに拠っている。そこで従来の表記と大きく変わったのが [ou] が [əu] になったこと。その時点までに実際に Received Pronunciation にそういう変化が起きていたのを追認したわけだけど、辞書に表記されることでこれが固定化される。
この点はロック入門=英語との出会い当時の私自身、妙だな、と思ってた点だ。「オウ」を、どう聴いても「アウ」と歌ってる。
(私は英語の「音」には敏感だった方だと思うけど、「意味」は全く解ってなかった。)
(これは1967年。)
ネイティヴ・スピーカーと話してて「それは1970年代の英語だ」と指摘されるだろう、とお思いかもしれない。でもそうじゃない。『不思議の国のアリス』の読者である私は「それはヴィクトリア時代の英語だ」と指摘されるのだ。