Maurice Ohana "Syllabaire Pour Phèdre"

モーリス・オアナ Maurice Ohana (1913-1992) の室内オペラ "Syllabaire Pour Phèdre"、1966-67年作曲。

マディ・メープル Mady Mesple (コロラトゥラ・ソプラノ)

ジャクリーヌ・ダンジュ Jacqueline Danjou (パイドラ)

ジャン・マレ Jean Marais (テセウス

クロード・ブーシェ Claude Boucher (ヒッポリュトス)

カティア・ラザフィ Katia Rozafy (コロスの長 Ⅰ)

フランソワーズ・カンポ Françoise campo (コロスの長 Ⅱ)

フランス国立放送合唱団ソリスト・グループ Solistes Des Chœurs De L'O.R.T.F.

フランス国立放送アンサンブル・アルス・ノヴァ Ensemble ≪Ars-Nova≫ De L'O.R.T.F.

指揮:マリウス・コンスタン Marius Constant

 

監修:モーリス・オアナ Maurice Ohana 

 

この曲の作風については、地中海音楽の伝統、微分音の採用、テープの併用、等々挙げられるけど、なにしろ聴感的に美しい。コンセプト云々抜きに。戦後のいわゆる現代音楽を、難解に戸惑ったり、能書きに So what? ってなったりしながら聴き進むのに、こういう、審美的な、響きとしてうっとりする音楽との出会いが励みになる。

この曲のテープのパートは無論オアナが作ってる。「音をそのスペクトルの全域において爆発させたい」オアナがテープ音楽に積極的だったのは道理だ。

タイトルの正しい訳(=作曲者の含意)は判らない。syllabaire(表節文字)は「音節を単位として表す表音文字」(そのいちばんよい例は、日本語の「仮名」)。台本(Raphaël Cluzel による)はあるにはあるけど、「台詞に音楽を付けたもの」ではなく、音楽のために言葉がときに音節にまで分解されてたりするようだから、そのことと関連があるだろうか?

実家の LP での表記は「オハナ」だった。「1976年までイギリス国籍であった」(Wikipedia「モーリス・オアナ」)から、このアルバムリリース当時はこれが妥当だった、ということだと思う。

作曲者自身の監修によるこの録音の、音場感・音像込みで、好き。

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