シュヴァンクマイエル、トルンカ

前回『クルテク』を貼りながら、これはわたし的に《「乙」なもの》という位置付けだなあと思ってた。

貼った「もぐらくんとみどりのほし」は、本当に美しい作品だけど。 

 

じゃあわたし的チェコ・アニメの「甲」は何かというと、これ。

ヤン・シュヴァンクマイエル Jan Švankmajer『アリス Nĕco z Alenky』(1988)。

実家にあった DVD は英語版だった*1

みんな大好きシュヴァンクマイエルではあるけど、有名であることを、取り上げないことの理由にすべきでもないだろう。レア合戦をやってるわけではない。

 

息子ヴァーツラフ Václav Švankmajer の 'Svĕtlonoš'(2005)。

 

シュルレアリストで Jan の妻、Eva Švankmajerová の絵をウェブでいくつか見た。何が描かれてるか判るけど抽象度が高い。なかで、私はこれの、透明な色調と、落ちる人と思しきもののフォルムと運動性が好き:

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 「落下 Pád」油彩 57×68cm

Jan の『アリス』のためのポスター(1988)も Eva 作:

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UK 仕様:

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ちょっとドゥシャン・カーライの『アリス』を思い出した。

 

 

イルジートルンカ Jiří Trnka の『手 Ruka』(1965)。

『バヤヤ Bajaja』(1950)や『夏の夜の夢 Sen noci svatojánské』(1959)の、イメージの豊饒、ファンタスティックな内容としてもカメラワークとしても「奥行き」をもつ世界が、最後の作品『手』では一転、ストレートなメッセージ内容のストレートな表現、権力批判の政治性、ストイックな造形、になってるのに戸惑う。

発表出来たのは国際的存在になってたトルンカだから、といっても、死後、社会主義政権崩壊の1989年までの20年間、国内での一切の放送・上映を禁じられた。

*1:チェコ語のつべを貼っていましたが削除され、貼り直したのがセリフの無い箇所だったため、この一文がイミフになってしまいました。