1870 (メキシコのバンド)

「チェンバー*1・ロック」という語に居心地の悪さを覚える理由が判った。私はクラシックの人だからだ。

クラシックの作曲家を「室内楽の作曲家」呼ばわりはしない。その作曲家の音楽の特性は、和声法なりリズム法なり何なりの「作曲語法」にあるのであって、管弦楽室内楽か独奏かという「ジャンル」で規定するものではない。

室内楽の作曲家」呼ばわりは、「室内楽しか書けない技術の片寄った作曲家」と貶すことだ。

ロックの場合たまたま、作曲者自身が演奏するという事情と、「ロック・バンド」が少編成なものであるという事情から、クラシック~現代音楽寄りの曲をやると必定「室内楽」になる。

 

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この曲を好きな理由のひとつは、音高の取り方が平均律から自由であるところに「自然さ」を感じること、だ。ここは重要で、「平均律が基準としてまずあってそこからズラしてる」のではなく、ちょうど、自然や都市の空間の中で、音の出来事たちが、互いに協和音程を取らないからといって互いに成立を妨げることがない、というありよう、その意味で 1870 のこの曲も「自然」なのだ。

なので、

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この曲の2分53秒目~4分30秒目、5分30秒目~最後までの、キーボードによる平均律まる出しは、聴くのがつらい。

まあ、もともとこのバンドの柱のひとつが、「チェンバー・ロック」とカテゴライズされるのであろう、ホルン×2、オーボエ / コール・アングレによるアンサンブルで、クラシック的な書き方の素地があるようだから、平均律を殊更避けるほうがよほど「不自然」かも知れないけど。

記譜上で平均律の場合であっても、管楽器は、キーボードみたいには厳密にならないぶん、救われる。

 

1870 ディスコグラフィ

・Mitos De Una Resurrección(CD、Luna Negra CDLN-39、2008年)

・Pogo Y 4 Historias De Horror(CD、Luna Negra CDLN-47、2011年、ここに貼った2曲はこのアルバム所収)

・2016年リリースのアルバム "La Insurrección" は 'El Espíritu de los Muertos' と 'Informe Marco Polo' の2曲を収め、私は Spotify だけ存在を確認した。フィジカルは無いっぽい。

以上3つのアルバム収録曲は全部つべに「1870 - Topic」のチャンネルが上げてる。

*1:「チェインバ」と表記したいけど