Carla Bley

私は Carla Bley を、ロックの分野での活動で知った。そしてそこから先にあまり踏み入れなかった。

最初の出会いは、イーノのオブスキュアの1枚 "Jan Steele / John Cage - Voices And Instruments" (1976) だった。ケイジのサイドに、声で参加してた。

ブレイが歌ってるのはこの1曲:

ケイジのサイドの他の数曲には Robert Wyatt が声で参加してる。

 

次が、"Nick Mason's Fictitious Sports" (1981) の全曲作詞作曲。このアルバムのリード・ヴォーカルは Robert Wyatt

 

 

さいきん、アメブロのある御記事で、これを聴いた。ブレイのソロ・アルバム "Fancy Chamber Music" (1998) の1曲。

MP3TUBE なので音質が悪い。つべにはこれ

が上がってるけど、「この動画を視聴できるのは、Music Premium のメンバーのみです」と表示される。私は、できない。

この曲をご教示下さったことをブログ主氏に感謝する。

ただ、御記事そのものは、シェアしない。

次のようにお書きになってて、承服できないので。

 

環境音楽的なシンプルな構成…

しっとりとして実に落ち着いた雰囲気…

 

「シンプルな構成」という印象は、ピアノパートが、模続進行というか、符割のパターンが一貫してるから、なんだろうけど、これを以て「環境音楽的」というのは不適当だ。

作曲のスタイルを表すために「環境音楽的」の語を使うのはいくない。

この曲はカデンツで書かれた、意識的に聴く対象だ。実生活の「背景」「環境」に置くためのものではない。

そのカデンツは「緊迫してる」。環境音楽に求められる「リラックス」と真逆だ。

聴くべきは「作曲内容」であって「雰囲気」ではない。

 

 

こちらは別の方が The Carla Bley Band のライヴ・アルバム "I Hate To Sing" (1984) についての御記事中でお貼りになってた。

ただし、この動画はアルバムのとは別パフォーマンス。アルバムでのこの曲のタイトルは 'The Piano Lesson'。

出来の良くないピアノ学習者が場の進行を滞らせる様子を描写した冗談音楽のようでいて(そしてじっさい見て聴いて楽しく笑えるのだけど)、そのじつスケールをモティーフにして音楽を組み立てる手際がスリリング。

上述 "Nick Mason's Fictitious Sports" の1曲目 'Can't Get My Motor To Start' に似てる。

録音年でいうとあっちは1979~80年、"I Hate To Sing" での 'The Piano Lesson' は1983年録音、この動画には「1982 French Tv」と説明がある。

にしてもカーラ・ブレイってこんなに立居振舞の颯爽とした人だったんですね! かっこいい。

 

 

さいきん

「しんかいさんってどういう時に音楽聴くの?」

と訊かれて、答えに詰まった。

質問の意味が、咄嗟に見えなかったからだ。

「どういう心理状態の時に」なのか、「忙しい中どうやって音楽を聴く時間を捻出してるか、生活のどこに音楽を聴く時間を確保してるか」なのか、「何をしてる時に」なのか。

最後の意味だとすると、

「私は音楽を聴く時に音楽を聴きます」

としか答えようがない。

私は音楽を、音楽を聴く目的で、聴く。TPO で聴かない。音楽を聴くために時間を作って、聴く。聴いてる時に他の作業をしない。音楽だけに集中する。

 

関連記事。音楽作品に雰囲気があっていけないわけではないし、作曲態度の話なので今回の鑑賞態度の話とはズレるんだけど。