プログレのシングル盤(四人囃子「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ」)

1年半前、2018年04月03日付で「日本のロックを1枚だけ選ぶとしたら」というタイトルで記事を更新しました。

サディスティック・ミカ・バンド『黒船』フル・アルバムのつべを貼っただけの記事。本文はなし。

 

つべが削除されたので、記事も削除しました。

 

「つべだけ」であることに積極的な意味は何もありませんでした。

当時気管支喘息がひどくなってて、体力的にそれが精一杯だっただけです。

そんな安直な記事なのに、☆を頂いたり、ツイッターでコメ頂いたり、普段以上の反応を頂いて、びっくりし、申し訳なく思いました。

みなさんご自分の「1枚」を選ぶのを面白くお感じになって、「あ、1曲じゃなくて1枚で良いのか」とリプ頂いたりして。

 

ロックはアルバムで聴くものという無意識の前提がありました。ぎゃくに『黒船』を選ぶために「1曲」ではなく「1枚」にしたともいえます。

『黒船』は、トータル・アルバムなことと、インスト主体なことが、最高にかっこいい。

 

『黒船』は1974年です。翌1975年、もうひとつの事件が起きます。

四人囃子のシングル盤『空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』のリリースです。

つべの画像はアルバム『一触即発』のジャケ。これの1988年最初の CD 再発時に、シングルの2曲がミニ CD として付属、1994年の再発以降ボートラとして収録。

シングルのジャケ:

私はこの盤の企画の意図やリリースの経緯を知りません。

アルバムからのシングル・カットではなく、最初からシングルとして企画されたものです。「シングル盤であること」が積極的な意味を持ってます。アルバムのプロモでも切り売りでも代替でもない。これ自体がこれとして完成品である。

たった4分間の中で、プログレというものが、こんなに十全に高密度に展開されるということが、当時の聴き手にショックを以て受け留められたのではないか?

じっさいこの曲は、前年のアルバム『一触即発』よりももっと、プログレのキモを突いてます(私にはあのアルバムはフォークに聴こえます)。

「5拍子じゃないタルカス」みたいに始まり「『危機』へのリスペクト溢れるギターのメロ」に続くイントロなど、類型的ではありますが「よく出来てる」ことを強く感じます。

なにしろ当時はまだ日本のプログレの最初期と言っていいので。

 

プログレ重厚長大が反省されるのは、世界的に見ても、もう数年先のことです。

これをやった意図って、ほんと何だったんだろう?