Katra Turana と 坂本龍一

その方のお話だと、その瞬間に日本の音楽シーンが一変した、ということになるのだけど、よくよく伺うとその方の個人的体験を一般化してお語りになってる。 

1982年、その方10代の終わり。

 

坂本龍一が FM でカトラ・トゥラーナというインディーズバンドの「今日の散歩はきりがない」という曲を掛けた。坂本は当時、NHK-FM に、自ら選曲する音楽番組を持っていた。

当時の音楽シーンは閉塞感の中にいた。ポストパンクの新奇がひととおり出揃い、国内外のもの問わず何を聴いても釈然としなかった。

そんなところに、カトラ・トゥラーナのこの曲を聴いた。途端に目の前がパッと開けた。思いもよらない、音楽形態の豊かな可能性が広がった。

 

その方は当時、輸入盤も自主制作盤も流通してない九州最南端の都市にお住まいだったそうなので、こういう感想になるのだと思う。でもたしかに、日本全体としてみると、当時インディーズ情報がどうやって伝播したのか、謎だ。坂本の、インディーズにまで目の行き届いた進取の気性と、カトラ・トゥラーナをピックアップする鑑識眼と、それを全国に向けて発信した功績は、計り知れない。

 

フルアルバムを貼る。「今日の散歩はきりがない」は 13'14" ~ 20'58"。たしかに1曲だけ紹介するとすれば、この曲だ。

 

オーラルヒストリーです。資料と食い違う点があるかも知れません。

 

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