オリオンの均整の奇跡。
ほぼ同じ明るさの3つの星がほぼ直線に並び、その周りを長方形が囲む。
長方形の対角線上の、一方には赤い0等星ベテルギウス*1、他方には青い0等星リゲル。
この長方形は南中時に直立する。
長方形のど真ん中=「三ツ星」をかすめて、天の赤道が通る。
「三ツ星」の下に「小三ツ星」。三ツ星はオリオンのベルト。このベルトの中心から垂線を下ろすように並ぶ小三ツ星は、剣。
小三ツ星の真ん中は、M42、オリオン大星雲。
日本の緯度から見ると、三ツ星は、東の地平線から昇ってくる時、直立してる。
天の赤道上だから、観測地点の緯度にかかわらず、真東から昇って、真西に沈む(「真にシニシズム」って変換するのヤメテ)。
いろいろ揃い過ぎ。
そして、何が奇跡って、この均整は、このタイミング、この地球の方角から見る時にだけ、成立してる、ということ。
恒星は固有運動をしてる。動かないと思われたから「恒星=fixed star」と名付けられたわけだけど、オリオンがオリオンの形を留めてるのはせいぜい数万年。
それに、数万年後、ベテルギウスは、無い。
均整の取れたフォルムの星座の筆頭はオリオンだけど、私は「こと座」を推したい。
0等星ヴェガのほとりに、平行四辺形。
こと座がいちばん好きな星座なのは、造形そのもの、ヴェガの輝きそのもののせいだが、どうしたって、オルペウス伝説がまつわってるから、というのもある。両面性が、音楽作品を好きになる理由と同じだ。