(2015-12-20 記)
緩い起伏の、真っ直ぐでない道、緑が多くて建物がまばらなのは、ここが郊外だからなのか、街中の一角の大きな公園だからなのか。
高校生とおぼしき紺のブレザー姿の女子が一人で歩いてる以外、人通りが無い。
私は彼女から遠ざかる方向に歩いていたが、彼女の方から私に近づいて来て、
「『あまのあさくさかいかん』はどこですか?」
と尋ねてきた。
知らない、と答えると、そこで今日〇〇があるんですよ、と何かのシンポジウム名を挙げた。
そこで何かの発表をする為に、地方から出て来て、道が判らない、というふうだった。
私は手ぶらだった。ノーパソあったら調べてあげられるのに、いや彼女こそケータイ持ってないのか?
2度目だ、と思った。
先日も、別の、高校生とおぼしき女子が1人、街中で同じ質問を通行人に投げかけているのを目撃していた。
家に戻るとTVで朝ドラやってて、セリフ中にしきりに「あまのあさくさかいかん」の名が出て来る。
PCでこのワードで検索すると番組HPがあり、注意喚起(というよりもっと緩いスタッフの逸話)があった。
高校生女子たちは、どうやら友人達に、ドラマの中の施設名を実在のものとして教えられ、真に受けて出掛けて来てしまったようだ。
この悪戯が最近流行っているらしい。
今日の女子はショートヘアの優等生風で、真面目で純朴で、他人を信用しがちな印象だった気もする。
さらに検索しようとするが、タイポを直そうとしてBack Spaceキーが利かないのでよく見ると、検索窓に表示されてる文言は何かの広告で、私の入力が見えない。
確認できないままでも実行すればいいんだけど、私は私でタイポを連発して、困難を窮めたところで、
目が覚めた。
検索してみた(ここからは現実です、たぶん)。
「あまのあさくさかいかん」
無かった。
追記
歩くシーンでは連れがいた。
私は見かけた女子から、敢えて遠ざかる方に進んだ。
若い子に対しては、何かのコンプレックスと、話の通じない存在としての怖れがある。
彼女を嫌ったのではなく、自分を、彼女にウザがられる存在と決めつけた。
話しかけてきた彼女は、気さくだった。
社会参加の姿勢が、私の若い子像を修正した。
連れは、古くからの付き合いで、私の心の動きを見抜いてい(るという設定だっ)た。