(2015年12月17日、記)
ザ・ビートルズ「ストロベリー・フィールズ・フォレヴァ」。
レノンがこの曲の最初のデモを、ギター弾き語りで録音した時、彼の頭の中でこの曲はどんな形をしていたのか?
メロとコードづけだけのデモを、あの最終的な完成形に持って行くということは、頭の中のイメージに近づけてゆく過程なのか、それとも、素材をもとに、アイデアを貪欲に取り込んで、行方を定めず発展させる過程なのか。
デモでは、8分音符のアルペジオ→スリーフィンガー奏法→コードストローク、といろいろ試してる。
ということは、コード進行と歌メロありきで、よりかっこいい曲に発展させるためにはアレンジをどんどん変更することを厭わない、のか。
(この時最後に単純なコードストロークに落ち着いたのは、まず歌メロを正確に入れることを期したから、と聴こえる。
各種アルペジオに、メロの、入り組んだ節回しを乗っけるのに、苦労してる。)
じっさいこの曲がビートルズとしての録音のスタジオに持ち込まれてからも、最終的なあの形になるまでに、アレンジを相当試行錯誤してる。
一方では、最初にレノンの頭の中にあれが降って来たのも大変なインスピレイションだし、頭の中には譲れないイメージがあったろうし、それを具現する「求心」。
他方では、メロトロンやテープレコーダ(「記録」の道具ではない「表現」の道具としての)などの機材からインスパイアされることを歓迎し、目の前に次々起こるハプニングを、予定のせいで見逃さないこと。
まあいっぱんに表現というのはこの2つのせめぎ合いなので、プログレに限ったことではないんだが。
この曲、音組織的にいくつか謎がある。
'Nothing is real.' の箇所。
最初聴いた時、ここの、コードと歌メロの関係の「むりやり」な感じが、かっこいいし、この箇所こそこの曲のキモ、と思いつつ、謎だった。
F♯のコードの上に歌メロがソ-ラ-シ♭-ミだから、今にして思えばコンディミなわけだが、レノンの意識の上では、そういう分析だったのか、もっと本能的なものなのか。
'It doesn't matter much to me.' の much→to→me がシ→ラ→ドと聴こえる。これ中世音楽の進行なんだが。
レノン的には、厳密に考えてるのか、たまたまヨタってこうなったのか。
バンマスS君は、この曲を、「いじれない曲」と思ってたが、ある時「間を詰める」ことは可能だ、と気付いたとか。
カヴァーの企みは、断片のまま放置されてるようなので、やっぱ歯が立たなかったんじゃ?
ここに貼るカラオケに、ヴォーカルが、サビでは3パート、乗っかる。
原曲では、サビが最後に現れる時、主メロの上にハモりがつくが、S君ヴァージョンでは、下からもハモって、つまりビートルズがいつもやってる、主メロを上と下からはさむ、というやり方を踏襲してる。
そのヴォーカル入り音源が、いま手許に無い。