石井美夏さんオリジナル曲「スカイ・クロラ テーマ」

 

(2015年4月24日、記)

 

私はディテールのある音楽が好きなんだ。

 

石井美夏さんが「映画スカイ・クロラのイメージでオリジナル曲を作りました!」とのこと。

 

無数の「うた」のかけらが、形と動きの必然をもって瞬間瞬間生まれ、編み上げられて曲になってゆく、そこにどんなにも作曲者の「誠実」な「集中力」と「審美眼」が注がれているか。

 

この音楽はまず静寂のスレッショルドが一本据えられて、その上に成り立ってる。

そのピンと張られた静寂は、透明で、そのくせ予兆を孕んで敏感に顫えている。

作曲者が、どんなに和声や音色やミックスに「耳を澄ます」人であるか、一聴明白だ。

それは乃ち音楽への「誠実」だ。

 

聴き手もまずそのスレッショルドに降り立って、つまり完全に耳を澄まして、かそけくもヴィヴィッドなディテールを聴き取らねばならない。

 

石井美夏さんの、音楽への真摯なスタンスについては、折々拝見する文章でその一端に触れ、いつも頭の下がる思いでいる。

この曲を聴くと、「ひと」即「音楽」なのだなあと思い知る。

 

にしてもこの透明。

これはもう石井美夏さんに固有のもので、憧れるけど、絶対に真似出来ない。

 

この曲に私は「いのち」を感じる。

泣けてしょうがない。