見ずに聴く

アクースマティック(Acousmatique)という単語は、発音源を見ることなしに聴くという意味で、ピタゴラスの弟子たちが、師の姿を直接見ずに、幕越しに声を聴いていたことに由来すると...なるほど — peeq / nankotsuteacher (@n_peeq_t) October 23, 2021 こ…

メモ(絵画で泣けない)

そういえば昔、知人から、 「音楽を聴いて泣く、ということは茶飯事だけど、絵画では、見て、感動はしてるんだけど、泣くということが起きない。この差の理由は何だろう?」 と問われた。 音楽が時間芸術だから、でしょうか。 泣くためのエネルギーは、時間…

メモ(トポス)

「絵本原画展」を観に行くというのは、「絵画展」を観に行くのと似てるようで、根本的に違う。 オリジナル一点物のタブローに会いに「絵画展」に出掛ける。その複製を収めた「図録」を買ったりする。 絵本においては、「原画がオリジナル一点物の作品で、絵…

アルミフォイルが鳴る

2019年11月越生「山猫軒」での、広瀬真咲、照内央晴によるパフォーマンス pic.twitter.com/qVzC1mHHFg — 照内 央晴 即興ピアノ (@PTeruuchi) October 1, 2021 好きな音。 これの鳴り方・聴こえ方を決めてるのは、3つのことなんだろう。 ①アルミフォイル上で…

録音への違和感

CD や LP は録音メディア、記録の手段であって、そこには、音の形を取るものでさえあれば、何を録音しても構わない。 「録音」し「鑑賞」すること。 そこに私はずっと違和感を感じて来たのだと、ふと思い出す。 きっかけは、(記憶がこの上なく曖昧なんだけ…

共同作業

♀:「今回は丁寧に緻密に作り込みたい」とは言ったけど、それだと、前回の「ライヴの・インプロの・相互行為の」と違って、「2人で作る」ということがやりにくいね。 ♂:これ(♂曲、作りかけ)、あと任すから、好きに作り変えてもらいたい。 ♀:既に完成して…

時間軸上の点と持続

「3時から始まる」 という言い方に違和感を覚える。 「3時に始まる」 と言うべきだ。 「から」を使いたければ 「3時から行われる」 でよい。 「3時から始まる」と言われると「3時から何時まで始まるの?」と問いそうになる。 「~から〇〇する」において、 …

Cluster "Cluster II"

呼び方が判らないので「対称」と呼ぶ。 例えば、「だんだん強く」と「だんだん弱く」は、言葉による表現として対称だし、視覚的に、クレシェンド記号とディミヌエンド記号は対称の形をしてる。 でも、ヒトの聴覚による認識において、これらは本当に対称だろ…

エロいベースライン

ツイッターで「#宇宙一エロいベースライン選手権」というハッシュタグがありまして、「エロい」をめぐって「何を以てエロいとするか」の議論があるわけですが、私はむしろ「ベースライン」をめぐっての「ラインって何?」の議論がありうべきだと思いました…

フィルイン

ドラムの打込みに関して、ロックが血肉化してるために、自然とそうなってしまうこと、逆にそこから逃れるのが非常に難しいこと、というのがある。 2拍目と4拍目がスネア、とか。 フィルインの存在というのも「当たり前」になってしまってる。フィルインの役…

かっこいいイントロ

私自身は「イントロ」という発想を有たない、ということについては以前書いてた。 《私にはイントロという発想が無い。クラシックが根っこだからだと思う。曲冒頭は「主題の提示」なのだし、要点から言って、要件言い終えたら黙る。 クラシック曲にも序奏が…

バミりと発想

私が KORG01/WFD 1台だけでやってた理由は昔どこかで書いたけど、要するに「私は自分で楽器を選んだことがない、たまたまあてがわれたのがぜろわん君だった、これしか知らない」ということ。 かれこれ10+年前。 バンマスが ProTools 購入も、インストールの…

ズレる、ズラす②a

以前一度書いた内容ですが。 生演奏で、2人の奏者が、音高やタイミングをぴったり合わせようと努力する結果生じるズレが、心地良い。 キーボードだと音高がぴったり合ってしまう。しかも平均律だったりすると美しくない。 打込みだとタイミングがぴったり合…

下書き放出 (食パン)

私は食パンを、何もつけずにそのまま食べる。「食パンに何つける?」の設問が、食パンには何かつけるものだという前提なのが、謎である。私はパン自体が好きなんだ。 最近は、軽く蒸して食べる。蒸籠もってないので、ふつうのお鍋に浅く水を入れて、ティーカ…

続・長3和音+短6度

この記事の続きです。 すぐに思い出さなかったのは全くの迂闊なんだけど、私がこのコードを最初に意識したのは、まさにドビュッシー『ペレアスとメリザンド』第3幕第1場の冒頭でだった。 00'15"、00'36"、01'21"、01'53"。 ここでは、B のコードへの付加が、…

メモ(「危機」と『海洋地形学』)

モティーフの関連付けで曲を構成するという時に、いっぽうでは、聴き手あってこその曲だから、聴き手に判りやすくくっきりと示すことが重要、そしてそれが聴き手の「物語のたっぷりとした読後感」みたいなものに結び付く時に初めて意味を持つ、という立場が…

場の在り方 ②

多パートの曲で、コンサートホールで演奏されることを想定して書かれたようなものは、どのポイント(空間の)で聴くのがベストバランスか、おのずと決まってる。オーケストラ曲を録音することは、鑑賞に供するために額縁に入れることだ。 テリー・ライリー『…

アンプで鳴らしてマイクで録りたい

昔、宅録の一環として、 ピアノ(アップライト)の天屋根を開けて、その上にスピーカを下向きに=ピアノの内部空間に向けて置き、 曲をそのスピーカで鳴らし、 ダンパーペダルは踏みっぱなしにしておき、 マイクをピアノの内部に吊り下げて録音する というの…

枠組みは、厳密に作り、恣意的に運用する

「複数人でのインプロにおいて『場をどう組織するか』についての参加者から企画者への提案」的な何か。 なかで「作曲」といってるのはこういう、「インプロによるアンサンブルを成立させるための枠組み」というに近い。 案④ 言うまでもなく MIDI キーボード…

音楽を愛する

昔、ある方から伺った話(不正確な引用)。 TV で、自閉症の少年がピアノでバッハのメヌエットを弾くのを見た。2つのメヌエットが対になった、短調のほう。 メヌエットには絶対あり得ない極端に遅いテンポで、2声の重なりが4分音符または8分音符の長さ毎に交…

譫妄 1/2

譫妄といっていいのか、ヒトの脳は、ちょっと攪乱されると、ふつうに幻覚を見、幻聴を聴く。私の場合、ICU で目を覚ますとそうなってた。 その、描写と、「視てる/聴いてる私の側がコントロール出来る要素がある」ことについて。 この話の大部分の紙幅を「…

音楽はフィールド・レコーディングよりも譫妄に近い

実家にはフォークギターが1本あった。 私は、巻き弦を、指で、弦を張った方向に擦ると、「コ――――」というか「ソ――――」というか、6弦5弦4弦それぞれの音高を持ちながらノイズを含んで掠れ、指が弦のどのポジションを通過してるかによって微妙に撚れる、上空の…

右利きの音楽

自作曲の中での左右の定位の「動き」について、私は無意識裡に、音楽は「左から右に流れる」もの、とイメージしてるように思う。 例えば、ハープなりピアノなりの1音のアタックをきっかけに、同じ高さの弦のフラジオレットなり純音なりが持続し出す、という…

レガート

当ブログでも拙ツイッターでも「レガート」の語を一度も使ってないことが判明。 但し当ブログで「ゲイトタイム100%」とは言ってる。定義浄土内田。 定義上同値だ。 いや、ちょっと違うか。 私が「レガート」と言う時は、「フレーズ」を「歌わせ」たい時だ。…

閃く 浮かび上がる

トモさんの御ツイートで知った曲。 0'07"~ のAメロの、コード進行と歌メロが、何かに似てる気がした。 . . . (思い出し中) . . . これだ。 0'24"~ のAメロ。 The School の作曲者がこれを知ってたかは判らないし、知ってたとしても参照してるかは判らない…

メロディ、その①

それを考え直すにはまず、それが何なのか見極めねばならない。 メロディを考え直すにはまずメロディを定義せねばならない。幾通りかに。メロディは、メロディという「形」でもあるし、メロディを奏でるという「行い」でもあるだろう。 というかどう定義でき…

ポップのキー

この曲、私には「ドミナントの E をメインに進行する、キーが A の曲」に聴こえてしまうんだけど、「E がキー」と捉えるべきなんだろうか? つとめて E がキーと取ろうとすればそのようにも聴こえ始めるけど、それだとつまらない曲になってしまう。 どちらと…

収斂進化

いやあ、かっこいい。 私は複調・多調に、『プレリュード』あたりのドビュッシーを通じてピンと来てた。ミヨーやストラヴィンスキーから露骨なメソッドとして示されると、態とらしさに So what? ってなった。 プレリュード第1巻第4曲(「音と香と夕べの空に…

テンポ

私が拍子(変拍子)に積極的興味を持てないのは「連続的変化」があり得ないからだ。 と、網守将平とバクテリアコレクティヴの曲「Climb Downhill 1」のテンポの連続的変化を聴いて、ふと思った。 こんなテンポの扱い、初めて聴いた。 音楽における「連続性」…

場の在り方

① 劇作家高野竜氏が、2016年の「ぼうそうあたり」の演出として「都々逸リズムの同じ歌詞を音頭と追分で二回に歌い分ける」ことをなさってた(という御ツイートがあった)。 ひとつには、曲そのものの在り方として、シラビックかメリスマか、拍節感の有無の差…