打楽器

打楽器はリズムのためのものと思われがちかもだけど、打楽器の特質は、まずなによりも、「音色」の幅広さと微細さだ。

 

金属板一枚から、奏法によって、奏者がコントロール不可能なほどに多様で思いがけない音色が引き出される。

叩くのか、こするのか。

どこを叩くのか。何を使って叩くのか。素早く跳ね返すのか、押し付けるのか。

スーパーボールを使ってこするにしても、どの部位をこするのか、一枚の板が潜在させる無限の倍音のうちの、どこを引き出すのか。

 

むかし触らせてもらった太鼓が、どこの国の、何という名前のものか、知らない。小型で細長い、腰鼓みたいな両面太鼓だった気がする。

その、膜のどのポイントを叩くかによって、「ぺしゃっ」とピッチとリリースの無い音と、「ぽーーん」とピッチをもって伸びる音とを得られた。どういう内部構造だったんだろう?