絵本といえば、「おかえし」、作:村山 桂子、絵:織茂 恭子、福音館書店、1989年09月、がある。
私がこれを読んだのは2013年、と、絵本ナビに投稿したレヴューを見て知る。
話の運ばせ方の仕掛けを1つ設定、これを律儀に運用することで物語を有機的に紡ぐ手法が好きです。
民話のようでもあります。
泣く話ではない筈ですが、無性に泣けました。
「よろこんでもらえて よかったわ」
下心なく、自然の事としてこう思える素直さが、沁みました。
穏やかな信頼が前提の世界。
それが滑稽な結果を生むとしても。
絵柄が好きです。
キュビスム風の家。
各見開き、フォーマットが統一されてる中で、家の中のものが入れ替わってゆくユーモア。
統一されてるといっても、一点一点手描きで微妙に違ってる温かみ。
反復+累積スタイルの話を読み進めながら、結末をどうつけるんだろう?と気になります。
引越しに始まり、おかえしのおかえしの果ての総入れ替え=引越しに戻って終わる、しかも今度は立場が対等の引越しだから「初めに戻って堂々巡り」のウロボロスに陥ることなく、完結。
イチゴに始まりイチゴに戻り、ようやく「いつもと おなじよう」な日常が再開される。
巧みです!
こう言うと身も蓋もありませんが、ここで行われる「交換」は「ポトラッチ」ですね。
投稿日:2013/10/22