私は変拍子について、
《「使う」ものじゃなくて、「そうなっちゃう」もの》
というスタンスだけど、どうせシステマティックに「使う」なら、徹底的に。
拍子は分数の形で表せるけど、世に行われる変拍子の変則性は専ら「分子」についてのもの。
分母は 2ⁿ(2、4、8、16…)に限られてる。
どうせなら、これを本当の分数と見做して、分子も分母も、どんな自然数の値も取りうる、としたらどうか。
例えば「5/7拍子」は、全音符の7分の1の長さで測って5つ分。
真骨頂は、これを使ったポリリズム。
声部Aが
5/8、7/8、11/16、13/16…
声部Bが
7/4、9/4、9/8、11/8…
と、どんなに入り組ませて、同時に重ねても、16分音符単位では常に縦の線が揃ってる。
分母もどんな自然数をも取りうるとした場合、2つの声部の縦の線が揃うことを予め期待できるのは、第1小節第1拍のみとなる。
5/7拍子の第1小節に続いて第2小節が始まるタイミングは、16ビートのどの拍にも合致しない。
聴感的に、というか結果的に現れる効果としては、「ランダム」と同じように聴こえるが、むしろカオス理論でいう「カオス」に近いかも。
私自身はこれを実践する気は起きない、「ランダム」で結構、なんだけど。