彼女が正しい

ある時私は求職者だった。

「高所恐怖症なんです」

「でしたら、あなたに相応しい仕事は、これ!」

コックピットに押し込まれる。

アポロはぐんぐん高度を上げる。

「ゔぉああああああ!!!降ろせ!!!!降ろしてえええええーーーーーーーーー!!!!!!!」

大気圏外に出た時、私はハローワーク職員のアドヴァイスの適切を知る。

無重力のそこでは、上も下も、したがって高さも、無いのだった。

 

ある時私は看守だった。

彼女A、彼女Bも看守だった。3人はそれぞれ小島を1つずつ宛がわれ、そこに囚人を閉じ込めていた。

監督管理強化の指示が出た。

私は泳いで逃亡されないよう、大陸を遠ざけようと思ったが、大変な土木作業で、挫折した。

彼女Aは、大陸ではなく小島を移動し、強化を完了した。

何故それを思い付かなかったか!でも私は、小島の周囲の海底を掘って深くした彼女Bほどバカではなかった。

氷河期が来た。小島は大陸と地続きになり、囚人は難なく脱出した。

彼女Bの囚人以外は。

 

ある時私は消費者だった。

スーパーで月1回ヤマザキフェアがあり、紅茶シフォンケーキが入荷する。

「定番に入れてくれたら毎日買うのに」

ある月のフェアで、欲張って、2個買った。

満足したが、し過ぎた。気持ちがぱったり止んだ。

バイヤーは正しかった。