Genesis "The Lamb Lies Down On Broadway"

11月18日は、 Genesis "The Lamb Lies Down On Broadway" がリリースされた日(1974年)。

 

大掛かりな曲構成トータルで世界をひとつ作り上げる志向が、'The Musical Box'(10分)→ 'Supper's Ready'(23分)と進んで、ここに至って遂にLP2枚組90分すべてを使うことになる。

歌詞はゲイブリエルが1人で書いた。

DVD "Songbook" 中のインタヴューでバンクスは「そのせいでへヴィーなものになってしまった」と不満を述べてた(いま手許に無いので不正確な引用)。

この時の経緯は、Wiki日本語版によると、

「構想段階ではマイク・ラザフォードによりアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ星の王子さまをテーマとした作品にしようとの意見が提案されたがピータ・ガブリエルによって「気取っている」「おとぎ話は時代遅れだ」等と反対されてしまい、最終的にガブリエルが全歌詞を担当することとなりウエスト・サイド物語天路歴程エル・トポといった作品やカール・グスタフ・ユングアレハンドロ・ホドロフスキーの思想等をベースにラエルという名のニューヨークに住むプエルトリコ人少年を主人公としたストーリーを書き上げている。ストーリーは少年の自己を見つめる精神的旅行という内容で、その道中に少年は様々な不思議な生物に出会うという少々難解な物であり、他のメンバーはよりシンプルな内容を志向したため徐々にガブリエルとの摩擦を生むことになる」

(「眩惑のブロードウェイ」の項)

 

私がジェネシス、殊にこの『ブロードウェイ』で面白いと思うのは、語本来の意味で「シンフォニック」であること。

部分と部分、部分と全体が、有機的に関連して響き合う。ひらたく言って「モティーフの処理が巧み」。

いくつかのモティーフが設定されて、アルバムの各所で繰返し登場する。その度にアレンジや和声的意味付けが変わってる。一聴して「リプライズ」と判るとは限らないやり方で、曲を、内側から、有機的に構成する。

その一例。

↑の2曲はモティーフ的に繋がりがある。

すなわち、'The Light Dies Down On Broadway' のイントロの gis - fis - cis - fis

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が、'Riding The Scree' のコーダ(3'35"~)で、音価を変えて

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と変奏される。

(そもそも 'The Light Dies Down On Broadway' は、タイトルからしてアルバムオープニング曲 'The Lamb Lies Down On Broadway' のリプライズという性格が強いのだが、同時に 'The Lamia' のリプライズでもある。'The Light Dies Down On Broadway' のAメロは、'The Lamia' のBメロの使い回しである。)

 

私はこのアルバムのミックスが都合何種類あるか把握してない。

最初に聴いたのは実家にあったアナログ盤。

私が買ったエディション(CD)では、開始部がフェイドインという無謀な処理をされていた。

アナログ盤を聴くと、バックでブーム音が薄く持続してて、開始部のような弱奏の箇所でこれが目立つので、これへのノイズ・リダクション意識が行き過ぎたんだろう。

 

私はヒプノシスを好きじゃないけど、このアルバムのアートワークは、音楽の世界を正しくヴィジュアライズしてて良い、と思う。

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The Lamb Lies Down On Broadway - album 1974

 

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