説得力、イマジネイション

説得力とは。

ヒトの想像の及ぶ範囲には限界がある。ふだん関連付けて考えてないあの事とこの事とはこう繋がってる、と示し、ハッとさせ、腑に落ちさせる。

むかしTVで、外国のCMの特集番組があった中で、献血を呼び掛ける、ヨーロッパのどこか(ドイツだったかな?)のCMが強く印象に残った。

重傷を負い道端に倒れている少年。傍を無関心に通り過ぎるひとりの人物。そしてコピーが「あなたが献血をしないということは、すなわちこういうことです」

輸血が行われるシーンをふだんリアルにイメージしてないし、それと献血をするシーンとを結びつけて考えてない、そこを繋げて見せることが、説得力。

献血を呼び掛けるCMというと日本だと、誰か有名人を起用して来て「良い事だから私は実行します」的な一言をにこやかに言わせる、というイメージ(私がTVを見ていたのは大昔だから最近のことは知らない)。

 

イマジネイションの欠如。

「自分さえ良ければ」は正確には「今・ここさえ良ければ」だと思う。

私とあなたとは、仮令遠く隔たっていても、大きなひとつの「いのち」のこっちの出っ張りとそっちの出っ張りで、因果応報、「自分だけが良い」は有り得ないからだ。

スーパーの商品を本来とは別の棚に移動させて平気でいられる客。

私がその客について思うのは「自分の都合しか考えないことへの腹立ち」ではない。

自分と他人との関係、「個」とその棲み処である「環境」との関係をイメージ出来ないことへの不可解、だ。

自らが棲む環境のエントロピーをそうやって自ら増大させて気持ち悪くないのかな、とふつうに不思議に思う。