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静謐は信頼

国で括って、イギリスはこう、アメリカはこう、と乱暴に一般化して語りたくないのだが、ロックの聴衆の鑑賞態度については、あまりに画然と、イギリスとアメリカとの間に違いがあると見える。

アメリカの聴き手は、音楽を聴きに来てるのではなく、騒ぎに来てるように見える。盛り上がるのが目的だから、その道具としての音楽を焚きつけるために、声も出すし指笛も鳴らすし拍手もする。

私自身は、音楽が鳴ってる時に聴き手が音を出すことがあり得る、というのが信じられない。

 

いっぽうロンドンでは。

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歌い出しの0分52秒目からの8秒間こそ歓声と拍手が(控えめに)起きてるし、最後は音楽が完全に鳴りやむ前に拍手が湧きあがるとはいえ、この場を支配するのは「静謐」だ。

演奏について、「音が鳴ってる」というより「静謐が鳴ってる」「静謐が、緊張をもって、持続してる」と感じる。慎重に執り行われる儀式のようだ。

そして演奏者聴衆含めてこれだけの人数が一堂に会してて、その成員ひとりひとり全員がこの6分間静謐を守り、「場」を持続してることは、奇跡だ、と思う。

そこにあるのは「信頼」だ。全員が、奇跡の完遂を望み、そのために協力する、その意志の共有において、お互いを信頼する。

 

ということを思い出したのは、この動画を見たから。

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場のあまりの静かさに、録音のために非公開でホールを使えて羨ましい、と思ってると、最後に聴衆の拍手が鳴り出して、びっくりした。