日記

この動画を教えて頂いた。

初めて聴くピアニスト。

私はショパンを全く知らないが、この曲は、ふつう、こんなに優しく軟らかく弾かれるものなんだろうか?

強弱のコントロールの敏感、ひとつのフレーズの中の各音の強弱の設定、ピアニシモの美しさ。

強靭か繊細かというより、デュナミークの基準を、最大強度に置く演奏家と、静寂のラインに置く演奏家とがいるとしたら、私は後者に惹かれる。

 

モーツァルトのピアノコンチェルトも掛けて下さった。

第27番 K595 の、第2、3楽章。

あんなに饒舌だったモーツァルトの、簡素と透明…いや私はこの孤独な高さを形容する言葉を知らない。

モーツァルトの演奏には、古典の佇まいが欲しい。ロマン性ではなく。

ギレリス、ベームに共通する「誠実」は、ことにこの第27に、相応しい。

 

マスネ「タイスの瞑想曲」を古澤巌のヴァイオリンで(洗足学園の動画)。

ギレリスの第27のあとすぐ続けてこれを掛けて下さった意図は存じないが、同じ「音楽」の範疇にあって見事に対極の、居たたまれない低俗。曲も、演奏も。

 

モーツァルトのピアノコンチェルト第20番を、繊細なプレトニョフとロックみたいなグルダで掛け較べ。

曲としては、第27の、モーツァルトさんどこへ行ってしまうの?みたいな境地ではなく、現世に安んじて、泣かずに聴ける。