ベルクのヴァイオリン協奏曲の出だしについて改めて持った感想について書くための道程⑤(補足)

短音階をどう決めるか、いったん保留したのだった。

 

現行、長音階はドが主音、短音階はその短3度下のラが主音、となってる。

 

現行通りドが主音の音階(=イオニア旋法)を長音階とする場合。

長調という性格は5度圏の音が決め、短調という性格は4度圏の音が決める、と言った。

「完全4度上」を「完全5度下」と読み替え、4度圏を、5度圏の音程を上下ひっくり返したもの、と考えるなら、長音階の音程関係、

全音全音、半音、全音全音全音、半音」

をひっくり返した、

「半音、全音全音全音、半音、全音全音

の音程関係を持つ音階、すなわちドの長3度上のミから始まる音階(=フリギア旋法)を、長音階平行調短音階、と決めるのが、いろいろ矛盾が出ずに済む。

 

だが私は「リディア旋法を長音階とすべき」と主張したのだった。

これをひっくり返すと、シから始まる音階が、平行調短音階、となる。

問題は、この音階にはドミナントが存在しない、ということで、ますます、前に言った「長調の和声をそのまま短調に平行に移して当て嵌めることはできない」が確定的になる。

わたし的には、短調はそういうもんだと思ってるので、べつに構わないんだが。

 

 

ラヴェル「ダフニスとクロエ」(全曲)。

開始部は完全5度を1つ1つ積み上げる。

「ダフニスの踊り」ではホルンが倍音列を下から順番に1つ1つなぞる。

どちらもあまりに身も蓋もないやり方だけど、開始部では、完全5度の積み上げが、ピュタゴラスを連想させ、響き自体の開放感としても、アルカイックな世界を一気に現出する。

ホルンはもともとピストンによる平均律の楽器ではなく、まさに倍音の楽器。