ラヴェル『子供と魔法』アンセルメ/OSR他

(2016-02-04、お題「1番好きな音楽アルバム」に沿って)

 

 

私がCDでいちばんたくさん持ってる演奏家は誰だろう?

いずれブレーズかアンセルメかどっちかには違いないのだけど。

 

アンセルメが好き、といっても、同じ曲でも時期によって解釈が大きく違うのがこの人の特徴でもあって、例えばドビュッシー『遊戯』を私はモノラル盤とステレオ盤の2種類聴いたけど(録音年に10年くらい開きがあったかな)、モノラル盤の方は、内側から湧くパワーで音楽を推進するような「力感」があって、フレージングにも「筆勢」があるのに対して、ステレオ盤の方は、スタティクで、見事に各フレーズ各パート鳴らし分けた演奏が、まるで当時のデッカの録音のハイファイさ、分離の良さをデモンストレイトする目論見ありき、に聴こえてしまう。

 

時期によって大きく違う解釈のどれもが好きというマニアではなくて、「いちばん好きな指揮者アンセルメ」という私の評価を決定づけてるのは、ひとえにラヴェル『子供と魔法』だ。

 

1954年、ステレオ録音としては最も早い部類だと思う。

「精緻」が「詩情」を生む。

この盤が、大好きなこの曲の「レファレンス」になってしまってるので、他のどの演奏を聴いても違和感を覚えてしまう。

 

(ペーター・マークは端から別枠と割り切って楽しめたり)

 

なかで、この7年前の1947年、エルネスト・ブールの全曲盤、これは偉大な業績なんじゃないか?

ただここでもやはり、これを好き、というのは、印象がアンセルメに近い、ということなのかも知れないのだが。

一点だけ、冒頭の木管のモティーフが最後に再現される、最も泣ける箇所で、この木管が合唱にマスキングされて聴き取れないのが、本当に残念。