(2015年11月10日、記)
KORG01/WFD(ハードシンセ)1台の中で全工程を完結させることは、美学ではない。怠慢だ。
S氏の曲。ぜろわん君1台でここまでやって凄え、とは思う。
いっぽうで、機材刷新でクリアできることはさっさとクリアして、そのうえでの創意に進め、とも思う。
打込み作業には終わりが無い。
この曲はもともと東京都の防災の日 TVCM の BGM として作ったもの(1996年頃?)。
でもいっぱんに、エディット作業というのはその後いくらでも続くものなので、ここで完成、というのが言えない。
この曲に最後に手を入れたのがいつか=打ち捨てられたのがいつか、知らない。
この曲、S氏の作曲の中では特殊な位置。
音色の探求に特化してるというか、ぜろわん君の音色作りの可能性を引き出す、ということだけやってる感。
そのためのアプローチが2通りあって、
① ぜろわん君に搭載の「ウェイヴ・シェイピング」機能の活用。モデュレイションっぽい波形はこれで作ってる。音高や、この機能の効果のデプスの、僅かな差が、劇的な音色の変化につながるので、その全貌を把握してコントロールするのは困難。
② 音色の組み合わせ方、つまり一般的な意味での「オーケストレイション」。こっちはS氏が常日頃得意にしてたところ。
0'36"~ と 0'57"~ の、低音の、海鳴りみたいな持続が好きなんだけど、データを見るとこれはふつうのティンパニのロール+ホルンの和音で、ごく単純な「オーケストレイション」だった。
倍音列フェチの私は、1'05" 目から終わりまでの箇所に大喜びするのだが、ぜろわん君の scale はグローバルモードでの設定なので、平均律と倍音列(これはもちろんユーザーズスケイルとして作るわけだが)を併用することは出来ない。
曲毎、トラック毎に別のスケイルを割り振るとか、曲途中で切り替えるとかは出来ない。
この箇所では、1音毎にセント単位でのデテューンで倍音列の近似値の音高にして、なおかつ、音が重なる部分では、1つのトラック内でそれは不可能だから、2つのトラックに交互に入れてある。