(2016年3月28日、記)
出先で足止めを食らって、たまたま持参してた Kate Bush のアルバム "Hounds Of Love" を聴いて時間を消費したことがある。
ふだん私は音楽をキッとなって聴く。
キッとなるとは、瞬間瞬間鳴ってる音のできごとを漏らさず聴き取ろうとするディテールへの集中と、音どうしの関係の時間の流れの中での把握、その2つのうちでは前者に大きく偏りがちということで、私のよくない癖だ。
キッとなって聴いている時には聴こえなかった、メロディ(音と音との関係)や、構成(メロディとメロディとの関係)が、楽に構えて聴き流すと聴こえてきて、口惜しい、ということがある。
その時、アルバム "Hounds Of Love" 11曲目、最後から数えて2曲目の 'Hello Earth' の0分43秒目からの歌メロとコード進行が、アルバム1曲目 'Running Up That Hill' の0分50秒目~のリプライズなのに気付いて、ゾワっ!となったのだった。
ふだんと違う環境が、耳と意識の、開き具合、開く方向、に影響したんだろう。
自宅でキッとなって何十回聴いても気づかなかったこと。
おそらく今後も、同じ自宅の環境では、さらに何十回聴いても気づかなかっただろうこと。
「魔が差した」というのに近い感覚。
挿入されるグルジア男声合唱は、本場物と聴きまがうが、The Richard Hickox Singers というイギリスのグループによる。