プログレ

ニュー・トロウルズの謎

じつは私未だに New Trolls を殆ど聴いてない。あまたある「然るべきタイミングで出会っていれば好きになれたにちがいない」バンドのうちのひとつ。 図式的で身も蓋も無いというか。PFM や Picchio Dal Pozzo を知ってしまったあとには聴けないというか。 で…

Ray Shulman

Ray Shulman のベースの、ぶっとい音色による、精緻なタイム感。 Gentle Giant の長所は「アンサンブル能力」にある。かつ、その能力は「作曲」を具現するためのもの、入り組んだ符割で多声部が噛み合う対位法を精緻に音化するためのもので、アンサンブルそ…

KORG01/WFD のシークエンス・モードで自然倍音列を使う

私が昔 KORG01/WFD(ハードシンセ)でやったのは、純正律ではなく「自然倍音列」について、平均律からどのくらいずらせばよいかを、実際に耳で聴いて近似値を探り当てる、ということです。 つまり、純音を2つ、基音と、その上の短2度~長7度、を重ねて、後者…

「コード進行」を忌避する

Depeche Mode にこんな深い表現があったとは。 こちらの御記事で知った。 お貼りになってる曲のどれもが好きとはゆかないけど。 ただ、出だしの「インダストリアル」感で「おっ!」となるぶん、曲が進むにつれて「曲」っぽくなってゆくのを、「余計な成分」…

ELP が好き

あるきっかけから 'Karn Evil 9 2nd Impression' を聴き直して、いまさら、3'15"~ 5'00" の箇所の美しさにびっくりした。 和声の、ムソルグスキーやドビュッシーを聴くのと同じ耳で聴けるような在り方。和音の中の各声部への構成音の配分というか、ある声部…

Punishment Of Luxury(または Punilux)

「ロック・マガジン」1979年12月01日発行 第28号 p. 105 掲載の、輸入盤店「WOODSTOCK」の広告。 「パニッシュメント オブ ラグシャリー」というバンド名を聞いたことがなかったので、調べた。 Punishment Of Luxury(または Punilux)、イギリスのポスト・…

下書き放出(Caravan)

私は「カンタベリー好き」とはいえない。 私が求めてるのは、着想の突飛さ、造形の目覚ましさ。 そしてユーモア。取り澄まして羽目を外すやつ。 カンタベリーの中に、私好みの要素をことさらに見つけて喜んでる。カンタベリーの聴き方として邪道なんだと思う…

Aragon (バンド)

Aragon の唯一のアルバム "Aragon"(Invitation、1985年)から。 今剛 (g)、林立夫 (d)、難波正司 (k)、浦田恵司 (syn)、西松一博 (v) ら精鋭スタジオ・ミュージシャンの集団たる Aragon が、1年10か月という長期間かけて丹念に作ったアルバムであるらしい。…

Hoelderlin "Traumstadt"

「Genesis 影響下のベスト・バンド」を探求すればするほど、それは Genesis の「クリエイティヴィティ」を受け継ぐバンドを求めることであって、従ってスタイル的には Genesis から遠ざかる、という皮肉を思う。 と書く時、思い浮かんでるのはシンフォ期 Hoe…

Esperanto "Danse Macabre"

私の個人的な経緯から始める。 プログレ聴き始めの頃。叔母の膨大なカセット・テープ・ライブラリーの中の1本に、プログレ曲が2曲入ってた。他の何かを収めた余白を埋めるというふうに。 2曲とも歌物で、プログレにしてはキャッチーで、必ずしもわたし的どス…

Oberon "A Midsummer's Night Dream"

Oberon というバンドはいくつかあるようだけど、これは1971年の自主制作盤 "A Midsummer's Night Dream*1" で知られるトラッド基調のバンド。 フルート、ヴァイオリン、男女ヴォーカル、パーカッションを含む7人編成による音像は深々と神秘を湛えて、秘密結…

今日のプログレ

Roxy Music の 1st. アルバム "Roxy Music" のオープニング曲、'Re-Make/Re-Model'。 2'44" からのソロ回しのうち、私が引用元を判るのは、ベースは The Beatles 'Day Tripper'、サックスはヴァーグナー「ヴァルキューレの騎行」だけど、ギターは何だろう? …

Magrathea "Underclouds"

すっかりハマってしまった Magrathea の、今日は 1st. アルバム "Underclouds"(自主制作、レーベル無し、1998年)から、'Slave To The Machine' です。 録音は1995年。この時は4人編成 Glenn Alexander Barnes - Vox/Keys Gary Gordon - Bass Jason Smith -…

Magrathea "In Search Of The Crystal"

Magrathea の "In Search Of The Crystal"(自主制作、レーベル無し、2006年)。 Magrathea については先日、2004年リリースの "Legends" を取り上げた。"In Search Of The Crystal" はその次の作品で、録音データとしては目下の最終作。 「すべての箇所が『…

空耳アワー、Pleymo 'Shugga'

これの1本目、1'01"~ が、わたし的笑いのツボ。 「空耳アワー」2015年05月15日放送分をコーナーまるごと収めたこのつべは、最近、2022年09月16日に上がってる。 1本目の空耳作品は、単独のつべを6年前に初めて見て以来、アップされては消え、ここしばらく見…

Magrathea "Legends"

Magrathea は1994年に Lancashire の Bury で結成。 3枚目とおぼしきアルバム "Legends"(自主制作、レーベル無し、2004年)は、Discogs には CD と CD-R が載ってる。 2011年にディジタル・アルバムでリマスターが出てる。bandcamp を見つけた。他にサイト…

下書き放出(CD 選びの思い出)

Couqueror の 2nd. アルバム "Storie Fuori Dal Tempo"(Ma.Ra.Cash Records、2005年)には面白くない思い出がある。 ユーロ・ロック・プレス読み始めの頃。つい出来心でシンフォを聴いてみようと思い立ち、同誌のディスク・レヴューで見繕った数枚のうちの1…

下書き放出(Roxy Music)

アルバムを評するのに、「まとまりを欠く」ことを欠点として論うのをよく目にする。 「まとまり」に何かのプラスの評価を置くということが私には解せない。ことにプログレでそれをやられると、メタル聴いてろ、ってなる。プログレすなわち「好き勝手」だ。創…

Shelleyan Orphan 'Jeremiah'

前回貼って久しぶりに聴いたら泣けた。 テンペラメント的にぴったり来るのだからしょうがない。確かにアレンジの美しい曲ではあるけど、「作曲として優れてるから泣ける」のであれば、この世にはもっと先に泣くべき曲がある。 この曲のアレンジが美しいとい…

夢 2023年02月24日

私はまだ布団の中にいる。私がノーメイクなのを見兼ねて、兄の Peter Gabriel が彼の友人 A に、私のメイクをするように指示を出す。A は若くて眼鏡で痩せ型 、実直で技術の確かなメイクアップアーティスト*1。私は自分が本当に完璧にノーメイクなのに自分で…

新海智子「シンフォ」

2018年08月作曲。緩い曲だけど、SoundCloud でいちばんアクセス頂いてる曲(SoundCloud は再生開始時に曲頭が欠けることがあるので、つべで貼る)。 「シンフォ」というタイトルを付けるということは、私自身はシンフォの人ではないという表明でもある。「シ…

夢 2023年02月20日

庭瀬往来(センターラインの無い、対向車がギリすれ違える道幅の、住宅地の道路)の右に寄って歩いてると背後からミニバン(旧式、アイヴォリー色)。私のいる右側に寄せて来るので除けて左側に移る。運転者はシンフォをニュー・エイジからの流れで論ずる論…

The Pop Group 'Blood Money'

脳内で Who says guns speak louder? と鳴り出したので、久々に聴いた: 当ブログで今までに The Pop Group "Y"(Radar Records、1979年)から貼ったのは、'Snow Girl'、'Don't Sell Your Dreams'。この 'Blood Money' については、殊更取り上げるという発想…

Uzva "Uoma"

スオミの Uzva の、3枚目にしてラスト作とおぼしきアルバム "Uoma"(CD、Silenze. SLC-028、2006年)。 完全にインスト。ジャズ・ロックだけど、夢見心地でモードへの感覚が瑞々しい楽想を、各種管弦にハープ、鍵盤打楽器を含むソノリティでやるのが大きな魅…

パクりました。

SoundCloud は再生開始で曲頭が欠けることがあるので、今後 YouTube で貼る。 まえに、この曲の 0'16"~ のパーカス・パートの8分音符での刻みについて「身も蓋もない」「単調」と悪口を言ってましたが、 それをパクったのは私です。 0'32"~0'49"、1'14"~終…

Tom Verlaine をめぐってメモ

「ブルースベースを感じさせないロックギタリストが好きなんだけど、トムヴァーレインもキースレヴィンも自分にとってはそういう存在」という御ツイートをお見掛けして、アメブロでの拙過去記事を思い出した。 ブルーズ・ギターが神髄の Mick Taylor が、な…

ディレンマ②

フレーズの符割をどんなに入り組ませても、それはイーヴンのビートを基準にしての入り組みであって、どこがどう入り組んでるのか判るように提示するためには、基準ビートを同時に鳴らさねばならない。 単調なビートが厭で、そこから逃れようとして、符割を複…

ディレンマ

この曲は本来歌物で、0'16"~ がヴァースなんだけど、私が気になってるのは、なぜここでパーカス・パートが「身も蓋もない8分音符での」刻みをやってるのか、ということ。 たしかに音色的な面白みはある*1。でもそれも、刻みがイーヴンで単調であることの音色…

Peter Gabriel 'Waiting For The Big One' での女声の扱い

これはいまだおたずね中だけど、女声をワンポイントで使う使い方が美しい例をひとつ思い出した。 Peter Gabriel 'Waiting For The Big One'。6'17" 目~。 とくにオクターヴ・ユニゾンになる箇所に気が遠くなる。 このあと次曲 'Down The Dolce Vita' にメド…

Beardfish

Beardfish はリアタイで "Sleeping In Traffic: Part Two"(2008年)だけ聴いた。作曲はほぼキーボーディストでリード・ヴォーカリストの Rikard Sjöblom による。 6分~8分ほどの数曲は、poetic な造形が畳み掛けられて密度があるうえに、羽目を外し気味な…