Genesis "The Lamb Lies Down On Broadway" に私は最初アナログ盤で馴染みました。
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この動画がそのミックスに聴こえます。6分45秒目~のフルート・ソロは、私がジェネシス を忘れがたく親密に思うようになった要因のひとつです。
ごく短いけど、楽想そのものと、曲がフェイド・アウトしてフルートが取り残される感じのミックスが、強い印象を残しました。
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今たぶんいちばんふつうに聴かれてるのはこのリマスターです。
件のフルートのパートが埋もれてしまってます。
(あと、フェイド・アウトのタイミングが若干違って、こっちのが2秒ほど長く聴けます。)
歌詞
we are the Lamia of the pool
について。
疑問が3つあります。
①Lamia は単数形、複数形は Laimas または Lamiae です。この箇所では何故単数形なのか。
②私の辞書には [léimiə] の発音しかありませんが、ゲイブリエルは [lǽmiə] と発音しています。
③ゲイブリエルの歌唱では、まるで [lǽmiə(r] であるかのように [r] が補われてる、つまり単独で読まれる場合または次に来るのが子音である場合は発音されず、次に来るのが母音の場合だけリエゾン が起こって発音される [r] が存在するかのようです。この箇所の場合次に来るのが母音の o なので発音された、という体です*1 。
まず①については理由は明白と思われます。
この曲は曲調も歌詞もエロティックです。そもそも Lamia はどうしたって labia を連想させるし、作者がダブルミーニング を意図してるのは間違いないと思います。labia は複数形です(単数形は labium です)。
②③については、①のあからさま過ぎる意図を、逆にぼかすベクトルを感じます。
③はたんに語調を整えるためかもですが。
ひとつ目の動画は、曲に由来しない絵を当てていてるのが気に入りません。
ウォーターハウスとラッカムを含みますが、ウォーターハウスのはマーメイド、ラッカムのはラインの乙女たち(ヴァーグナー 『ニーベルンクの指輪』の挿絵)です。ラミアではありません。
歌詞には the Lamia は three vermilion snakes of female face と描写されています。
追記 2018年2月25日
疑問②については lamb [lǽm] との関係を考えるべきでしょう。
ですが、そもそも、アルバムタイトルになってるにもかかわらず、the lamb について歌詞は殆ど全く言及しません。
第1曲=タイトル曲の中で、リフレインで5回、それ以外に1回、the lamb の語が出るだけで、短い描写のみ。
それ以外、アルバム通して、この語が出すらしないんじゃなかったっけ?
ストーリーの中での位置付けも、主人公レイルとの関係も、表立っては語られません。
the lamb と the lamia との関係を考えようにも、そういうわけで手掛かりがありません。
'The Lamia' では、ラミアはレイルの血を求め吸うけど、その途端死ぬ。レイルはその死骸を食べ物として受け取る。
このアルバムは、全体のストーリーも、個々のエピソードも、解釈の取り付く島がありませんが、仮に the lamb とレイルとを同一視して、the lamb と the lamia の交合とその犠牲から、私などはインセスト ・タブーを思ってしまいます。
(「全ての愛は畢竟自己愛」みたいな線は無さそう)
そういう解釈は既にありそうだし、このアルバムの詞世界の研究は尽くされてるのでしょうが、私は不勉強です。