Buddy Guy with Jack Bruce and Buddy Miles 'Mary Had A Little Lamb'

バディ・ガイをほぼ知らないのですが、3年前、のぶはる氏がこちらの御記事

で紹介下さった動画の1曲目にびっくりしたのでした。

ブルーズの定型「12小節」

ⅠⅠⅠⅠⅣⅣⅠⅠⅤⅣⅠⅠ

の最初4小節を端折って、8小節

ⅣⅣⅠⅠⅤⅣⅠⅠ

でリフレインする構成の曲というのは、他に例があるのでしょうか??

この性急に畳み掛けるスピード感の理由は、長さ的に冗長さを回避してることと、各楽節がⅣから始まることが推進力を生んでること、だと思います。

 

3年前当時差し上げたコメントに、のぶはる氏が返信下さって、「この動画の元である『Super show』は実質バディ・ガイローランド・カークが主役」とのことでした。そういえばたしかに当時アメーバピグの音楽フロアでこの2人の競演する動画が掛かるのを2、3回見ました。

4度

「音楽に sus4 の解決を持ち込むな」は私のスローガンだけど、「sus4」がダメなのではなくて「の解決」がダメなのだ。常套手段だから。

 

4度への好みを、私は強く持ってる。

子どもの頃、「ドミソ」の和音にもう1個音を足すとしたら、

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の、

1「ドレミソ」は、地べたの、下世話な音で、嫌い

2「ドミファソ」は、天空の、遥かに抜ける音で、好き

だった。

1はヤマトの陽音階に通じるドメスティック、2は琉球音階やペログ音階に通じる遥かな憧れの対象、と感じてたかも知れない。

 

sus4 の解決は嫌いだけど、逆の進行は好き。これは子どもの頃好きだったグリーグペール・ギュント』「朝」の終わり近くのホルンの和音の進行 [fis, a, h, dis] → [fis, a, h, e] が原体験になってるかも知れない。

これの3分33秒目~。

音楽の基本要素

音楽の基本3要素はリズム、旋律、和声、と義務教育で聞かされる。この説をまともに採用する楽典があるか知らない。

厳密でもないし、音楽の多様な在り様への目配りも無い。

「旋律」は音高と「リズム」で出来ている。一方が他方を要素として含む2つを並列してる点だけで、この説のいい加減さが判る。

特定の時代の特定の地域の特定の階級の音楽をモデルに発想されてるし。どこが「基本」だよ。

 

「音の4要素」として「高さ、強さ、長さ、音色」を挙げて音楽を組み立てるやり方もある。「トータル・セリエール」もこれにあたる。でもこれでも「トータル=全面的」と呼ぶには、要素を限定し過ぎだ。

例えば、左右の「定位」、遠近の「パース」をセリー音楽のパラメータに加えることだってできる筈*1

曲をアイデンティファイする要素は何か。音の高さや長さが違えば同じ曲と認められないのに、定位やパースがその曲がその曲たる所以であり得ない、なんてことがあるだろうか?

(「パース」は「リヴァーブのデプス」に近い。)

私がこんなことを思ったヒントは、またしてもプログレ。 

これの1分49秒目~2分13秒目。

(この音色クルムホルンかと思ってたら、どうやら regal というオルガンの一種。)

今ではロックやポップで当たり前に行われるアイデアが、もともとはプログレの発明、という例は、多いんだろうと思う。

 

面白くないのは、でたらめでも「リズム、旋律、和声の3要素説」が打ち上げられると、これを真に受けてこれに沿って音楽を発想する者が出て来ることだ。

ポップの大半がそうだ。この場合「リズム」は「リズムパターン」と取り違えられ、スタイルを指す語と組み合わさって「サンバのリズム」「ワルツのリズム」という発想になる。

ポップにおいては規則的なリズムパターンに「のる」ことが重要視される。

《リズム》パターン上の、「主」《メロ》と、コード進行=《和声》による「伴奏」。

つまり、音楽の基本は何か、考え、考え直すためのではなく、それに則れば音楽もどきが作れてしまうメソッドとしての「音楽の3要素」。

 

「リズム」の語が生む誤解が面倒で「符割」と言い換えた件:  

ただ、「リズム」は時間軸だけでなく「強弱」も含めたもの、と考えたほうがいいのかも。

 

「和音」と「音色」はともに「音高」に還元できるからこの3つは統一的に扱うべきだとか、パルスは秒単位で測れば音高、分単位で測ればビートだから、「音高」も「リズム」や「ビート」とともに時間の問題として扱うべきだとか、は、また別に考える。

*1:追記 2019年09月05日 シュトックハウゼンが「空間音楽」をやってたらしい。'Gesang Der Jünglinge' もそれであるらしい。不勉強で済みません。